カリタNEXT GとフジローヤルR-220みるっこを比較する


先日、Twitterでも呟いてましたが、フジローヤルR-220みるっこを購入しました。


これまでは当店の挽き豆の注文にはカリタNEXT Gを使ってましたが、今後はフジローヤルR-220みるっこで挽いていくことになります。



さて、この「みるっこ」ですが、業務用グラインダーをそのまんま小型化したようなミルで、ハイアマチュアから小店舗くらいまで幅広く使われています。


あ、でも勘違いしないでほしいんですが、「業務用」というのは品質のみならず処理能力の高さも求められますから、単純にすべての面で優れているってものでもありません。


今回はカリタNEXT GフジローヤルR-220みるっこを比較しつつ、実際に使ってみた感想をお伝えできればと思います。




ネクストGから乗り換えてみた率直な感想


まだそれほど日はたっていないのですが、使ってみた率直な感想としては



意外とクセが強い( ;´Д`)



みるっこは1989年発売、いっぽうNEXT Gは2015年発売と26年も差があります。


正直、扱いやすさに関しては設計のあたらしいNEXT Gに分があります。



発売直後に購入し、ずっと当たり前のように使ってきましたが、細かい部分で気の利いた仕様になっていたんだなぁと今さら実感した部分も多々あり、、、


ただ、二律背反といいますか、NEXT Gは扱いやすさを重視することで逆にマイナスになってしまっている部分もあります。


価格的にはどちらも5万円台(※実勢価格には差があります)なので、NEXT Gとみるっこのどちらを買うべきか悩んでいる方も多いと思います。




両者の違いを比較してみる



粉砕方式の違い

電動ミルの形状的にはいわゆるフラット刃という、向かい合わせに刃を設置して両方の刃を高速回転させてすり潰すタイプなんですが、使っている刃は両者で異なります。


 フジローヤルR-220みるっこ - 金属製グラインド臼


みるっこは金属製のゴツい刃ですね。見た目からもパワフルですし、粉砕力を重視した感じでしょうか。


ちなみにみるっこにはグラインド臼のほかに、エスプレッソ挽きにも対応した "みるっこDX" という製品もあります。そちらは刃の形状が異なりますので購入される際は注意してくださいね。




カリタNEXT G - セラミック製カット刃


NEXT Gはセラミック製のなだらかな刃。セラミックは熱伝導率も低いですし、優しくカットすることで摩擦熱を軽減している感じですね。




一度に挽ける豆の最大量

これは説明書にも書いてありますが、みるっこは200g、NEXT Gは50gです。


挽き売り店だと200gくらいは一度に挽けないといけませんので、みるっこは業務での使用を想定しているんでしょうね。


NEXT Gの50gというのはだいたい4〜5杯分なので、一般家庭での利用かカフェでの使用くらいまでを想定していそうですね。



フジローヤルR-220みるっこ - 200g


写真では見えませんが実はホッパーの上の方にうっすらと「200 ─」と数字とラインが刻まれています。



カリタNEXT G - 50g


こちらもホッパーの真ん中辺りに「MAX ─」と書かれてます。ホッパー内部の底に豆の跳ね返りを防ぐパーツがついているのも気が利いています。



粉砕速度はみるっこの方が圧倒的に速く、NEXT Gが50gを挽き終えるまでのあいだに200gを挽き終えます。


ちなみにNEXT Gの場合、200g挽こうと思ったら刃を冷ます時間があいだに必要になるわけで、単純計算で4倍遅いだけでは済みません。



(50g挽く時間+冷却時間)× 4セット


ってことになります( ;´Д`)



当店で挽き豆を購入いただくお客様は2パック同時に買われることが多いので、一案件につき400g挽くことになるわけで、実はものすごい時間がかかっていたのでした(^_^;)


ただ、味や香りという点では摩擦熱が生じないようにゆっくり優しく挽いた方が良いです。そういう意味では両者の狙いは完全に真逆を突き進んでいると言っていいでしょう。


挽き目の均一さと粉砕速度に狙いを絞ったフジローヤルR-220みるっこに対して、味や香りなどの品質に狙いを絞ったカリタNEXT Gといった感じですね。




静電気と微粉


カリタNEXT Gは静電気除去装置が搭載されています。粉の排出口に向けてマイナスイオンを放出することで、微粉に付着した静電気を除去するのだとか。


セラミック製の刃はそもそも静電気を発生させにくいというのもありますし、モーターの回転も遅いので、長年使っていて静電気に悩まされたことは全くありません。



一方、みるっこの方は、





・・・ ( ・ω・) 





あれ?特に対策してないような?(・・;)



みるっこから使い始めた方はそうでもないのかもしれませんが、NEXT Gから電動ミルの世界に入った私としてはかなりビックリしました。



これはなにか個別に対策するか、もしくは許容するかの二択ですね。


ちなみに備え付けのプラスチック製の粉受け容器なら、蓋に付いているマグネットによって隙間がなくなりますので、容器内の壁面にびっしり微粉がつく程度で済みます。(ただし見た目は安っぽいです)



金属製の粉受け容器に変えようものなら、隙間から微粉が舞いあがり本体が一瞬で粉まみれになり、おまけに容器に触れた瞬間に「パチッ!」っと電撃を喰らうことになります。


これに関しては私も少しだけ対策してますので、それは後ほど説明します。


ちなみに豆を24g挽いて、茶漉しでふるった微粉の比較画像もありますので、参考までにどうぞ。



カメラ側の自動補正で粉の色が違ってみえますけど、同じ豆を使って30秒ほど粉をふるって採取した微粉です。わかっちゃいたけど、こうして見比べるとけっこう差がありますね。




粒状性比較


ウチのNEXT Gはもう5年以上使っていて刃の磨耗が気になるお年頃なので、粒状性を比較するのはちょっと酷な気もしますね(^_^;)


シティーロースト以上に深く焙煎した豆なら安定するんですが、それより浅めの硬い豆になると途端に挽きムラがでます。


カリタNEXT G 中煎り豆 ダイヤル#3


こうして見ると、ちょっと粗いかな?程度ですが、、、


抽出後の粉をみると一目瞭然!



かなり粗いのが混ざってますね。


これでもフツーに抽出はできますけど、NEXT Gは浅煎りとか中煎りくらいのコーヒーをよく飲む方にはオススメしにくいですね。



一方、みるっこはグラインド臼の特性や、モーターのパワーが強力なこともあり、どんな豆でもスピーディーにかつキレイな粒状性を保ちます。


フジローヤルR-220みるっこ 中煎り豆 ダイヤル#5.5


いやはや、なんとも美しいメッシュですな(*´ω`*)



あと余談ですが、カリタは昔からドリップ用のコーヒー豆は粗めの中挽きを推奨していることもあってか、NEXT Gは一般的な挽き目よりやや粗めのチューニングになっています。



説明書では真ん中(ダイヤル#8)が中挽きになっていますが、実際は他社のミルでいうところの中粗挽きくらいで出てきます。


当店ではNEXT Gでダイヤル#3〜4辺りを使っていましたので、みるっこに置き換えた場合、近い挽き目として5.5〜6辺りを使っています。



騒音比較


音の大きさについては極端な差は感じませんが、ちょっと聞いただけでわかるくらい圧倒的にみるっこのモーターが高回転です。


とはいえ、両者とも電動ミルとしてはかなり静かな方だと思います。


さすがに寝ている赤ちゃんの傍で使ったりしちゃダメですが、常識的な時間であれば使って困るほどの音量じゃないです。


まぁ、多少うるさくてもコーヒー1〜2杯分なら数秒なんでガマンしてください( ´Д`)y━・~~




ドリッパーとの相性


なんとなく気になったのがドリッパーや抽出方法との相性。愛用しているドリッパーや味の好みで、人によって評価が変わってくるかもしれません。


カリタNEXT Gは微粉が少なくやや粗めの挽き目なので、スッキリしたクリアな味に仕上がります。「なにか物足りない」と感じる方もいそうです。


空気抜けがあまりよくないカリタの台形やコーノなどの、低めの湯温でじっくり落とすタイプのドリッパーと相性が良いように思います。あとフレンチプレスとかですね。



一方、みるっこの方はまったりとした濃度のある質感に仕上がります。「キレが悪い」と感じる方もいるかもしれません。


こちらは空気抜けが良いハリオ円錐やORIGAMIなどの、高めの湯温でスピーディーに落とすタイプのドリッパーが相性が良いような気がします。



そういえばだいぶ前の話になるんですが、何度かウチで挽き豆を購入されたお客様に、



(´・Д・)」 < 他店に比べるとなぜか濃度がでない



と相談されたことがあります。


粉の量を増やしてもあっさりしていて濃厚な感じにならないということだったので、焙煎したての新鮮な豆だから成分が出にくいのが原因だと思っていたんですが、、、


もしかしたらNEXT Gで挽いていたから、というのもあるかもしれませんね。




みるっこの静電気と微粉についてどう考えるか


さて、先にも述べたみるっこの静電気と微粉について。


純正のプラスチック製の粉受けは見た目的に安っぽいですから、金属製のモノに変える人が多いと思いますが、その場合なにかしらの静電気対策は必須だと思います。


私の場合、以前から粉受け缶にはラトルウェアミルクピッチャー(20oz)を使ってます。



ムダに値段が高いので、他メーカーのものでも全然かまわないんですが、ラテアート用に買ってはみたものの使い勝手が私に合わなかったので、粉受け容器として流用しているというワケ。



本当はこっちのシリコングリップがついてる握り込みタイプのミルクピッチャーの方が静電気対策としては正解な気はしますけど、こっちはラテアートの練習用に現在進行形で使っているのでね(〃ω〃)


このサイズだとコーヒー粉が100gちょっと入ります。コーヒー袋に注ぐときやドリップバッグを作るときにも、注ぎ口があるおかげでこぼれにくいのでけっこう重宝してます。


さて話を戻して、金属製の粉受け缶をそのままみるっこに使うと、持ち手に触れるたびに静電気を喰らうことになるので、私の対策を紹介しておきますね。



サンカットヤーンIIという静電気を除去するヒモがあるんですが、これを排出口マグネット上の隙間にグルグル巻いてます。以上。



微粉はそれなりに付着するので気休め程度ですけど、挽くたびに電撃は来なくなったので、それなりに静電気軽減の効果はあるようです。



ただまぁ、私個人としては本体が微粉で汚れたり、容器の内側に微粉が付着するのは基本的には許容してます。


そのぶんコーヒー粉に混入する微粉を減らせているわけですし、面倒だけど本体の掃除をこまめにやればいいという考え方ですね。



みるっこの微粉対策も紹介しておきます。こちらも気休め程度かもしれませんが、混入を軽減するための施策ですね。


みるっこって豆を挽き終えたとき、スイッチをOFFにした直後だと思うんですが、最後ひとかたまりの微粉が落ちるんですよ。



赤丸で囲った部分なんですけどわかりますかね?


写真だと真上からなので分かりにくいかもしれませんが、横から見ると粉が盛り上がっているような状態ですね。



この頂点の部分がまるっと微粉なので、それをスプーンで掬い取って捨ててます。


ちょっとしたことではあるんですが、みるっこはこういうひと手間が必要なミルだと思います。



まとめ


カリタNEXT GフジローヤルR-220みるっこを比較してきましたけど、結局のところ一般家庭用ならNEXT G、小規模販売店ならみるっこを推す感じですかね( ´Д`)y━・~~


それぞれに適している条件をまとめると、



ネクストGを選ぶ条件

・コーヒー豆を一度に少量(50g以下)しか挽かない

・クリアでスッキリした味わいのコーヒーが好き

・ゆっくり落とすタイプのドリッパーを愛用している

・中深煎り〜深煎りくらいのコーヒーをよく飲む



みるっこを選ぶ条件


・コーヒー豆を一度に50g以上挽くことが多い

・頻繁に本体ならびに本体周辺を掃除できる

・スピーディーに落とすタイプのドリッパーを愛用している

・浅煎り〜中煎りくらいのコーヒーをよく飲む


(※あくまでいち個人の感想です)


最後に個人的な意見ですが、ミルはコーヒー用品のなかでもっともお金をかけるべきところだと思っています。私がはじめてNEXT Gを使ったときの感動は今でも覚えてますし、そのくらいハッキリとコーヒーの仕上がりに差が出ます。


ただし、今回の比較でもわかるように、金額的に高いからすべての面で優れているというものではありません。それなりにお高いモノですし、購入を検討される方は失敗のないよう自分に合うものを選んでくださいね。


ではでは。


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