良質な浅煎り豆を美味しくドリップするためのちょっとしたコツ
今回は2月に今期のゲイシャ(浅煎り)を発売開始したタイミングで上げたかった内容。
いろいろあって忙しかったので今更となってしまいましたが、浅煎りコーヒーの淹れ方のコツについて解説していきます。
浅煎りコーヒーを特別視する理由
べつに浅煎りのコーヒーが特殊というわけではないんですが、ちょっと前までは飲用としてはあまり一般的な焙煎度ではありませんでした。
昔はだいたいどこのコーヒー屋も、中煎り・中深煎り・深煎りというラインナップで、
(・Д・) < あれ?いきなり真ん中からスタートなの?
みたいな状態だったんです。
事情がよくわかっていなかったコーヒー初心者だった頃は、なんで店で売られている豆が中煎りに偏りまくっているのかホント謎でした。
浅煎りというのはその豆が持つ個性を強く感じられるので、カッピング用として焙煎されることはあったんですが、酸味が強すぎるとか、青臭くなりがちでうまく焼けないとか、そういった事情で一般向けにはあまり販売されていない焙煎度でした。
現在では業務用焙煎機の質も高くなりましたし、なによりスペシャルティコーヒーの個性豊かで高品質な生豆の登場により、美味しい浅煎りコーヒーが提供できるようになったことが大きいです。
味覚的にも「コーヒー=苦い」という既成概念にとらわれずに、果物のような個性的な風味や酸味がコーヒーの美味しさとして認知されるようになったサードウェーブコーヒーという流れによって浅煎りのコーヒーが一般化されました。
浅煎りのコーヒー豆の特徴
先日発売したゲイシャの浅煎り(シナモンロースト)ですが、火に晒してる時間は中煎り(ミディアムロースト)と15秒くらいしか違いません。
温度でいうとたかだか2〜3℃早く排出するくらいの違いでしかないんですが、それでも明確に違いが出てくるので焙煎というのは奥が深いですね。
浅煎りの豆の見た目は淡い茶色で、深煎りなんかと比べると豆自体が硬いので、ハンドミルで砕く場合はちょっと力がいります。
また浅煎りの豆は酸味と香りが出やすく、あっさりした淡いコーヒーになります。
それだけにその豆が持っている品質がモロに反映されます。
缶コーヒーやコンビニコーヒー、量販店で売られている安いコーヒー豆に、なぜ浅煎りがほとんど存在しないのかは察してくださいね( ´_ゝ`)
普段、真っ黒でコク深い苦みの深煎りコーヒーばかり飲んでいる人にとっては、異なる飲み物だと思った方が受け入れやすいかもしれません。
、、、濃いめに出したレモンティーとか言った方がイメージ近いかもしれませんねw
浅煎り豆は抽出効率が悪い
さて、肝心のドリップについて。
コーヒー豆というのは焙煎が深くなるほど成分がお湯に溶け出やすく、逆に浅くなるほどお湯に溶け出にくくなります。
「抽出効率」なんて言い方をしますが、つまりは浅煎りに近くほど抽出効率は悪くなります。
挽き目を細かくしたり、より高温のお湯で抽出したりして、抽出効率を上げてバランスを取るのですが、浅煎りともなるとそのどちらをやってもまだ足りないこともあります。
もしくはコーヒーが落ちるのが遅くなるから粒度は細かくしたくないとか、粉で買ってるから粒度調整ができない、、、なんてこともあると思います。
そこで、試していただきたいこの方法。
蒸らし時にスプーンで粉を直接かき混ぜる
コーヒー抽出にあるまじき力技のような気もしますが、浅煎り出してるお店なんかだとフツーにやってたりします。
使うスプーンはどんなものでも構いませんが、蒸らしの温度が下がってしまうので使う前にちゃんとお湯で温めておいてくださいね。
細かいやり方はあまり気にしないでもいいと思いますが、全体にお湯がムラなく触れるようにサッサッサッと手早く混ぜることを意識してもらえれば良いかと。
ちなみにお湯を入れた直後にかき混ぜ開始して30秒ですぐ注湯を開始するので、けっこう慌ただしいです。
あれ?スプーンどこだっけー?
とか、お湯入れてからスプーン探し始めたら過抽出まっしぐらなので、注意してくださいね。
あと、注意点をもう一つ。
この方法は豆の持ち味を強く出すことになります。
それはつまり、美味しくない成分(主に渋味や枯れ臭など)もいっしょにブーストすることになります。
できる限りニュークロップ(収穫から1年以内の新しい豆)で、キチンとハンドピックを行なって欠点豆を取り除いた雑味の少ない豆であることが重要です。
浅煎り以外の焙煎度でやってみてもいい
スプーンでかき混ぜる方法は、要するに抽出序盤の抽出効率を高めるだけなので、浅煎り以外やってはいけないってものでもありません。
ナチュラルやアナエロビック(嫌気性発酵)であればユニークな香りがより強く、甘みのあるコーヒーに仕上がります。
中煎り豆ですが、当店だと個性の強いこの辺りの豆がオススメです。
エルサルバドル/ロマ・ラ・グロリア農園・パカマラ・ナチュラル
メリットは少ないですが、深煎りでやってみても良いです。
焙煎から日が経ってなくて、コクや苦味が出にくい場合なんかは特に有効だと思います。
抽出後半を早めに切り上げて、味をみながらお湯を足していけば失敗しにくいですし、旨味たっぷりで後味のキレがいいコーヒーになります。
まとめ
結局、浅煎りに限った話でもなかった気が、、、(^_^;)
序盤の抽出液をできるだけ濃くして、出がらしになった終盤の抽出液をできるだけ入れない、というのを意識してもらえると美味しくなると思います。
あと、混ぜることで粉の内部で抽出ムラがなくなるので、慣れれば安定した味を出せるようになってきます。
細かい部分は味の好みや抽出の環境によっても変わってきますので、トライアンドエラーを繰り返しながら試してみてくださいね。
ではでは。
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