精製で味と香りをコントロール?パルプドナチュラル(ハニープロセス)精製のコーヒー豆の特徴
今回はパルプドナチュラル(ハニープロセス)について。ナチュラル、ウォッシュドについての以前の記事はこちらからどぞ。
パルプドナチュラル(ハニープロセス)とは
"ウォッシュド" とか "ナチュラル" というのは、なんとなくイメージできそうなものですが、"パルプドナチュラル" ってどんな意味なのかピンときませんよね?
そもそもパルプってどんな意味??
pulp
1不可算名詞 (柔らかい)果肉.
2不可算名詞 [また a pulp] どろどろしたもの.
、、、ってことだそうな。
中米ではハニープロセスという言い方をしますが、"どろどろした"、 "果肉"、 "蜜" といったキーワードが肝になってそうですね。
コーヒーの実の中には内果皮につつまれたコーヒー生豆が入っているわけですが、その周りには蜜のような粘着質が付着しています。
ちなみに粘着質(ミューシレージ)はスペイン語でMielといい、蜂蜜も同じ綴りなんだそうな。英語読みでは "蜂蜜=Honey"ですので、これがハニープロセスという呼び方の元になってます。
精製工程はこんな感じ。
ウォッシュドのときはミューシレージをすべて除去してしまいますが、パルプドナチュラル(ハニープロセス)では、機械を使ってミューシレージをある程度除去するにとどめます。そのまま時間をかけて乾燥させることでミューシレージに含まれる糖分とフルーティな風味が生豆に浸透していきます。
中米で主に行われているハニープロセスにおいては、ミューシレージ除去割合や乾燥期間の調整によって味や香りのコントロールが可能になります。またその割合によって完成したコーヒー豆の呼び方も変わってきます。
・ブラックハニー:ミューシレージをほぼ全て残す
・レッドハニー:ミューシレージを多めに残す
・イエローハニー:ミューシレージを少し残す
・ホワイトハニー:ミューシレージをほとんど除去する
本当はミューシレージの残存割合なんかも細かく設定されているのですが、ややこしいのでここでは大まかに書いています。乾燥期間も色が濃いほど長期間乾燥だったり、それぞれ違いはあります。
ちなみに実際のパーチメントコーヒー(脱殻前の状態)は呼び名どおりの色に近い感じになります。まぁ、パーチメントを剥いてしまえば、どれも同じような薄緑色ですけど。
パルプドナチュラル(ハニープロセス)のコーヒー豆の特徴
よく「ナチュラルとウォッシュドのいいとこ取り」なんて言われ方もします。ナチュラルほどではないものの果実感や甘さがあり、ウォッシュドのような透明感のある酸味も出せます。
ハニープロセスだと色分けされたそれぞれの段階によっても味や風味が大きく変わってきます。欠点豆が少なく安定した品質で、個性的な風味、甘さもちゃんとある、、、弱点のない優等生みたいなイメージですね。
パルプドナチュラル(ハニープロセス)のコーヒー豆生産が多い国
パルプドナチュラルといえばブラジルですね。ブラジルはナチュラル精製というイメージが強いですが、パルプドナチュラルもそれなりに出回っています。値段高めで高品質というイメージです。
一方、ハニープロセスは中米で盛んに行われています。コスタリカとかエルサルバドル辺りが多いですかね。
発酵技術を使った新しいプロセス
新しいコーヒーの追求はとどまるところを知らず、最近ではアナエロビック・ファーメンテーション(Anaerobic:嫌気性発酵)やエアロビック・ファーメンテーション(Aerobic:好気性発酵)といった発酵技術を使ったコーヒー豆も登場しています。
簡単に説明すると、果肉除去した後のパーチメントコーヒー(ミューシレージ付き)を他の豆から採取したミューシレージに漬け込んで発酵させたものです。
上の写真がその様子なんですが、、、見た目はただ泥水ですね(;´д`)
それによって複雑で独特な風味を添加できるという、もはや精製を通り越して調味になっている気もしますが、今後はこういったコーヒー豆を目にする機会も徐々に増えてくると思います。
PRIVATE STOCKで扱っているパルプドナチュラル(ハニープロセス)のコーヒー豆
エアロビック・ファーメンテーション(好気性発酵)を伴うイエローハニー。しかも品種はティピカ種のみという、チャレンジ精神旺盛な豆。
ライムのような柑橘系の明るい酸味が特徴的ですが、決して強い酸味があるわけではないのでご安心を。むしろ酸味が苦手だと思っている方に飲んでいただきたい一品です。
こちらはレッドハニーの豆になります。キャラメルのような香ばしい甘さとカシスのような印象があります。
というわけで、今回はパルプドナチュラル(ハニープロセス)のお話でした。
ナチュラルとウォッシュドに挟まれて、没個性の優等生的な印象もありましたが、ハニープロセスによるバリエーションであったり、そこに発酵技術を絡めたりと、まさにコーヒーブームの中核となりそうですね。
よかったらぜひ試してみてくださいね。
ではでは。
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